須恵器とは、古墳時代中頃(5世紀初頭)に朝鮮半島から伝わった青灰色をした硬い土器のことです。
日本では古墳時代始め頃まで、野焼きのようなやり方で縄文土器や弥生土器・土師器といった土器を作っていました。
これらは、手軽に作ることができる一方、焼きが甘いため水が染み込みやすく、時間が経つと脆くなるという欠点がありました。
古墳時代中頃になると、朝鮮半島から「ロクロ」と「窯」とともに須恵器作りの技術が伝わりました。
薄くて硬いのですが熱には弱いため、主に食器・貯蔵具などが多く作られました。
ここでは鳩山窯跡群で作られた製品の一部をご紹介します。
食器(供膳具)
1、坏(つき)
現在のお茶碗のような使い方をしていましたが、ご飯以外におかずや汁物なども入れていたようです。皿と埦の中間くらいのサイズで、最も一般的な器の1つです。
2、埦(わん)
坏と同じようにご飯やおかず・汁物などを入れるのに使っていたようです。
坏や皿よりも深く大きいサイズで、最も一般的な器の1つです。
3、蓋(ふた)
中身が冷めたりしないよう坏や埦などとセットで使われました。
4、盤(ばん)・高盤(こうばん)
現在のお皿のような使い方をしていました。
脚と呼ばれる長い台の付くものと付かないものの2種類があります。
貯蔵具
5、壷(つぼ)
水や酒・穀物などを貯蔵するためのものです。水や酒を入れるクビの長い長頚壷・埋葬等に使われた短頚壷などの種類があります。 特殊なものとしては、横瓶という卵形の酒を入れる容器があります。
6、甕(かめ)
水や酒・穀物などを貯蔵するためのものです。
屋内に据え付けて水などを大量に貯めておく大甕もあります。
調理具
7、鉢(はち)
口が大きく開き、底の浅いものを 鉢と呼びます。
現在のすり鉢・ボウルのような使われ方をしていました。この他、仏具の1つである 鉄鉢形土器もあります
8、甑(こしき)
現在の炊飯器のような使われ方をしていました。
底には穴があけられ、胴部には把手の付くものがあります。水の入った甕の上に、米の入った甑を重ねてご飯を蒸していました。
仏具
9、水瓶(すいびょう)
仏様に供える清らかな水を入れるための容器です。
もとは金属製のものでしたが、須恵器や灰釉陶器など焼き物製のものも使われるようになりました。
10、四耳壷(しじこ)
現在の骨壷のような使われ方をしていました。
肩の部分に4つの耳をもつのが特徴です。耳には穴があいているため、蓋をしたあとに耳に紐を通して結び固定したのではないかと考えられます。
11、香炉形土製品(こうろがたどせいひん)
胴部に4つの小さな穴があけられ、底には大きな穴があいています。
これらのことから香炉ではないかと考えていますが、他に出土例がないため、正確な使い方は不明です。
文具
12、円面硯(えんめんけん)
形は現在のものと違いますが、習字でも使われる硯の一種です。
墨をする硯の部分と長方形にくり抜いた透かしや線刻を施した脚部からなります。