皆既月食
10月8日、全国で皆既月食が観測されました。事前の天気予報は芳しくなく、私自身はあきらめかけていましたが、実際には雲の合間から、約3時間にわたる月食という天体ショーを、楽しむことができました。
皆既月食では、月が地球の影の中に完全に入り込みます。しかし、皆既月食中の月は真っ暗になって見えなくなるわけではなく、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる赤黒い色に見えます。
地球のまわりには大気があります。光が大気の中を通過する際、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱され、大気をほとんど通過することができません。
一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、光が弱められながらも大気を通過することができます。これは、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。
大気がレンズのような役割を果たし、太陽光が屈折されて本影の内側に入り込みます。このかすかな赤い光が皆既月食中の月面を照らし、月が赤黒く見えるのです。
今回、皆既月食の様子を撮影しましたが、ピントが甘かったようです。数日前に、練習を兼ね月齢8.9の月を撮影しましたが、このときはうまくピントが合い、大きく拡大しても充分に鑑賞できる仕上りになりました。
当日、近くで月食を楽しんでいた幼児や小学生、そしてその保護者の方々が見えられ、十数人の観望会となりました。肉眼で見る月食と望遠鏡を通した月食では、趣が多少異なります。
子どもたちに、月と地球、そして太陽の位置関係を説明しましたが、楽しいひとときでした。また、こうして子どもたちと星空を楽しむ機会があればと思います。