経常収支比率(その2)
平成19年度の鳩山町の経常収支比率94.3%は、事実上県内30町村中最悪であることがわかりました。では、なぜこの指標が高すぎるとよくないのでしょうか。
経常経費にかかる割合が高いということは、毎年決まって支出される固定費の割合が高く、その年度の政策的経費や公共投資に支出されている割合が少ないことを意味します。新たな政策を取りたくても取れないのです。
もう一つは、何らかの事情で歳入が大幅に減少する事態が生じた場合、歳出削減が極めて困難という面があります。大幅な歳出削減が不可避な場合に、公共投資など削ることのできる部分が少なく、毎年のように支出される町民の皆さんの暮らしや福祉の分野に関する支出、職員の給与などを直撃することになるのです。
財政が硬直化しており、人でいうと動脈硬化が著しく進んだ状態です。人に突然死があるように、自治体でも経常収支比率が高すぎると、いきなり財政破綻することもありえます。
経常収支比率がそれほど高くない場合、何らかの事情で大幅な歳出削減が必要になった時には、公共投資等を控えれば、町民の皆さんの暮らしや福祉の分野に関する支出に手をつけることを最小限に抑えることが可能です。
逆に低すぎるということは、現時点で公共投資優先の行政がなされており、住民の暮らしや福祉の分野に予算が回っていないともいえます。低ければ良いというものでもありません。
鳩山町の歳入と歳出のバランスが取れていない主な要因は、公共投資に偏り過ぎた財政運営にあるのではなく、一般家庭での日常生活費にあたる経常経費にかかりすぎているのです。