上條さなえさん
埼玉県在住の児童文学作家上條さなえさんと先日お会いすることができました。上條さんには、以前、鳩山町で2回ほど講演をしていただいています。
始めは、平成22年度に行われた親学講座でした。この講演の内容がすばらしく、鳩山町の子どもたちにも同じ話をしていただきたいとの参加者の声があり、翌年、鳩山中学校で中学生への講演会となりました。
上條さんは、1950年東京生まれ。小学校教員を経て、児童文学作家としてデビューしました。
作家活動の傍ら、埼玉県の児童館館長を経て、埼玉県教育委員会委員長などを歴任しました。
著書に「10歳の放浪記」という作品があります。父親の事業の失敗で一家は離散し、父と池袋の簡易宿泊街をねぐらに、酒に溺れる父に代わって、拾ったパチンコ玉で夕食代を稼いだ、10歳の著者自身が経験した1年間のホームレス生活を描いた本です。多くの読者の涙と感動を誘い、テレビドラマにもなりました。講演の中身は、ほぼこのホームレス時代の話です。
中学校での講演には立ち会っていませんが、子どもたちが感動したことは上條さん自身の言葉から想像できました。「三百数十人の子どもたちが、私を見ていた。私は、悲惨だった自分の人生について語った。『それに比べたら、何とあなたたちは、幸せなのかと』と。信じられなかった。私が語った50分間、子どもたちはじっと私を見続けてくれたのだ。体育館の天井に誰かいて、マジックをかけているのかと思った。子どもたちの表情を見ているうちに、感激と感謝で胸が一杯になった」。のちに、読売新聞に上條さん自身がそう寄稿しています。
上條さんに、再度、鳩山中学校での講演をお願いしたところ、快諾をいただきました。